3月11日に発生した東北東日本大地震は、10数メートルの高さにも達する大津波(Tsunami)を引き起こし、10,000人を超える人間の命を奪い、地方経済のみならず、壊滅的な状況に陥っている地方の部品関係の生産工場の影響で、日本の製造業の生産システムの根底が破壊された形になっている。津波による原子力発電施設の事故も深刻さを増し、環境汚染、食物汚染の脅威にも晒されている。まさに瀬戸際の対応の様相である。
「我慢、忍耐、辛抱、自粛」、これらの言葉の意味するところを、身をもって実践することは、日本人にとってはある種の美徳と考えられている。「武士は食わねど高楊枝」的な矜持、プライド、やせ我慢を称える思想である。日本人にとって、「武士道」とは?その前に「日本人」ってなんだ?戦後の窮乏生活、極貧生活を経験し、その状況に耐えながら、経済の急速な発展を具現させた日本人のその姿は、アジア諸国が範として追い求める、理想的発展途上国家の姿だった。連続テレビ小説の「おしん」はまさにこの4つの言葉を背負って生き、その経済発展を家庭において支えた、まさに忍耐と辛抱の女性の姿を描いたもので、アジア諸国で絶大なる支持を得て、日本人女性=「おしん」のイメージを植え付けたのである。海外においては、現在にいたっても、「理想のお嫁さん」=日本人女性なのである。アフリカのどこかの国では、エコロジーの観点から「もったいない」=‘Mottainai’という言葉を地球規模で広めているらしい。平成23年(2011年)の4月、戦前にハワイ移民した日系人が命名して、その名が広まった‘Tsunami’が日本に襲いかかってきた。この’Tsunami’後の対応において、戦後の窮乏生活の経験で培われ、「おしん」でアジア社会を感動させた‘Gaman’ ‘Nintai’‘Shimbo’‘Jishuku’の精神に加え、‘Mottainai’精神を、日本人が範として見せる、大きな見せ場、正念場ではないかと考えるのである。多くのボランティアの人々が東北に集まりつつある。海外からの支援部隊も次々と到着している。支援する側、される側、それぞれの立場はあるが、そこには間違いなく人間同士の触れ合いがあり、交流がある。地球的規模の支援が集まる東北の地、私も物資両面で出来るだけの支援をいたしたい。
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